言の葉と道具

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【本】「GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ」はゴールデンウィークに読む本ではないかもしれない

映画に接した一番最初の記憶は、祖父母の家のテレビで見た怪獣映画でした。タイトルは覚えていません。ただ鮮明に記憶していることは、火を吐く怪獣が暴れまわっている姿だけ。それは、「ゴジラ」。その影響でしょうか、小さいころはゴジラが大暴れする悪夢をしばしば見ました。


その悪夢を小説という形で淡々と読者に見せつけるのが、『GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ (角川文庫)』です。


本書は昨年出版された『GODZILLA 怪獣黙示録 (角川文庫)』の続刊となります。そして、これらは、アニメ版3部作であるGODZILLAの前史という位置づけで出版されています。第1弾『GODZILLA 決戦機動増殖都市』が昨年11月に公開。第2弾が5月18日(金)に公開される予定です。上記2冊の本はそれぞれ映画の公開前に発売されています。


前日譚という関係上、これらの本で完結するわけではありません。しかし、本書だけでも十分に楽しめる作品であると思います。実際私はまだアニメの方を見ていませんし、特撮ものに詳しいわけでもありません。それでも手に取ったのはテレビでひさしぶり見たゴジラシリーズとなった「シン・ゴジラ」が思いの外面白かったから、でしょうか。
そして、この本は「シン・ゴジラ」とはまた違った面白さがありました。


インタビュー形式で語られる怪獣たちの猛威。人類は数億単位でその数を減らします。それでも人類が怪獣に対して反撃することのあった「怪獣黙示録」。しかし2冊目となる「プロジェクト・メカゴジラ」では主に、ゴジラに対する対抗兵器として建造されるメカゴジラのために、絶望的な時間稼ぎをする人類の様子がえがかれます。


人類だけではありません。人類は怪獣も環境も全てを「メカゴジラのために」摩耗させていくのです。読者にはメカゴジラが起動しなかった、ということが歴史的事実として最初から提示されているにもかかわらず。そして、宇宙船で少数の人類が逃げ出したあと、地球に残される。


本書ではさまざまな怪獣やメカが数多くあらわれて物語を彩ります。そして、2冊目で明らかになるのは、なぜ人類は遠い宇宙のはてにたった2つの宇宙船と1万5千人の人々を逃がすに至ったのか、ということ。月や火星ではなぜダメだったのか。


この2冊、ともにそれぞれ200ページほどで、ゴールデンウィークの合間あいまに読み進めることができる手頃な文量でした。しかし、ひとつ困ったことがあります。この時期にこの本を読んで、こんな気分になったことです。

シン・ゴジラ 俺の会社も 踏んでくれ
(第30回『第一生命サラリーマン川柳コンクール』)


長期休み明けを厭うサラリーマンの、ちょっとした妄想が頭の中をよぎります。