言の葉と道具

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【企業開示】日本企業(日産・神戸製鋼)の品質にかかるごたごた

 多くの3月決算期の会社が半期の決算をむかえるからでしょうか。ここ最近、日本企業の品質に関するゴタゴタした話が報道を賑わわせています。概要は次のとおりです。

 

・日産  :
9月29日、完成した車の出荷前の検査で、本来なら検査には資格必要であるにもかかわらず、資格を有していない従業員が検査し、提出書類を偽装していたことを公表した。また、10月6日に38車種約116万台のリコールを国土交通省に届け出た。

 

神戸製鋼
10月8日、アルミおよび銅の製品について、顧客の要求にそってない製品の一部について、検査証明書のデータを書き換えて出荷していたと発表。なお、開示時点で製品の安全性に疑いを生じさせる具体的な問題は確認されてないとの発表。

 
 どちらも品質にかかるインシデントですが、個人的に両社で大きく違うなと感じた点は「適時開示」の有無です。
 適時開示とは、ざっくりいうと、上場会社が重要な情報(投資判断に影響を与えるもの)をちゃんと開示しなさいというルールに基づき情報を公表することです。

 
 今回、日産は「適時開示」しておらず、神戸製鋼は「適時開示」をしています。
 なにが違っているのでしょうか?

 
 日産は影響額を250億円と見積もっています。これは、同社の前期利益 (親会社株主に帰属する当期純利益)の6,635億円のざっくり4%くらいとなります。業績に与える影響は大きくないでしょう。
 しかし、神戸製鋼は影響額を「未定」としています。つまり、影響額が現時点では不明なため、適時開示が必要だったと私は推測しています。
(適時開示については、東証にて細かくルールが定められています)

  
神戸製鋼の適時開示を読んでいて、気にかかる一文があります。次の箇所です。

 
「他の事業部門における同種の不適切行為の有無に関する調査を行っております」

 
 報道によると、経営陣が問題を認識したのが8月末とのことでしたので、10月に公表するまで、1カ月以上あった。それなのにこの表現です。

 今後、神戸製鋼がどうなるのか、気になります。