言の葉と道具

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【適時開示】書いちゃえ日産 。カルロス・ゴーン不正疑惑の適時開示

見るだけで、切迫感が伝わってくる書類があります。
昨夜、11月19日の夜に日産自動車株式会社の代表取締役会長、カルロス・ゴーンが不正行為を行っていたとして逮捕されました。容疑は有価証券報告書の虚偽表示。事件自体についてはメディアが大々的に取り上げているため、言及することはありません。


ただ一つ、非常に印象に残ったことがありました。本件を伝える日産の適時開示文書そのものに、です。


タイトルは「当社代表取締役会長らによる重大な不正行為について」(日産HPへのPDFリンク)。


会社のプレスリリース(日産HPへのリンク)が18時30分過ぎ(NHKニュースWEB版では18時43分更新でこの会社発表を伝えています)、上記の東証(TDNET)適時開示は19時でした。


17時過ぎにあった第1報の報道からリリース発表まで、時間が短いにもかかわらず、リリースのなかには代表取締役の解職を取締役会に提案する旨までが書かれている。用意がしっかりされているな、そう感じていました。しかし、東証の適時開示文書を見て違和感を覚えました。


どうしてこんなに文書の体裁が整っていないのか、と。

同社が9月に開示した「完成検査における抜取検査の不適切な取扱いへの対応等について」(日産HPへのPDFリンク)とあわせてご覧いただければわかりやすいかもしれません。
ざっと見比べるだけど、以下のような違いがあります。

  1. 適時開示文書の右上に「会社名」「代表者名」および「問合せ先」を記載する部分があるが、それぞれの文字列の先頭は通常揃っている。今回は、これらがばらばらであった。
  2. 「問合せ先」にあるいつもある”IR部”という部門表記がない。
  3. 本文のフォント明朝体の場合もあれば、ゴシック体の場合もある。今回の適時開示文書はゴシック体。
  4. 適時開示文書右上に、財務会計基準機構の会員マーク(丸いマーク)がついているときとついていないときがある。
  5. タイトルと本文のフォントサイズが同じである。通常はタイトルのほうがフォントサイズが大きい。
  6. 本文行間がいつもと違う。


特に、1.はあまり見かけない事象です。おそらくWord上で右揃えにしてしまったのではないでしょうか。17時過ぎの報道第1報以降に、この適時開示文書を作りはじめたのではないか、そう思うほどです。


開示書類の乱れは、会社の乱れ。
ある企業を見るとき個人的に気にかけていることです。ここ暫く、日産の適時開示から目が離せそうにありません。