【企業開示】紋切り型開示に関する雑感。短信「会計基準の選択に関する基本的な考え方」から
いつも大変お世話になっております。
これは私がつくる社外メールの書き出しの基本系です
「いつも」を「平素より」に変えたり、「大変」をとってみたりして、メールの書き出しにおく。
これは「紋切り型の表現」というものでしょう。
そして、決算開示といわれる領域は、紋切り型な表現が満載です。
決算短信を例にとりましょう。2018年3月期決算会社の2社が「会計基準の選択に関する基本的な考え方」という項目に書いた文章です。
(かぎかっこ部分。下線は筆者が挿入)
「当社グループは、資本市場における財務情報の国際的な比較可能性の向上を目的に、平成30年(2018年)3月期第1四半期より、国際財務報告基準を任意適用する予定であります。」メンバーズ 平成29年5月11日発表、平成29年3月期決算短信(IRページへのリンク)
「当社グループは、資本市場における財務情報の国際的な比較可能性の向上を目的に、平成30年(2018年)3月期第1四半期より、国際会計基準を任意適用する予定であります。」
カカクコム 平成29年5月10日発表、平成29年3月期決算短信(IRページへのリンク)
違う部分は、下線を付したところだけです。そっくりですね。
だからといってこれがパクリだ。悪いことだと言いたいわけではありません。
おそらく上記の会社は、IR支援会社(プロネクサスか宝印刷)が出す記載例※をほぼそのまま使ったのだと思います。
(※短信や有報を出す会社は、上記のIR支援会社2社のどちらかを使っていて、この会社は、それぞれ短信や有報の書き方の手引(記載例)を発行しています)
冒頭、メールの書き出しの「お世話になってます」という一文は、紋切り型の表現ではありますが、文頭に挨拶文をいれることは社外メールにおける一つの「型(フォーマット)」ともいえます。
決算短信のような、かしこまった書類ではこの「型」が重要です。
ですから、会社としては、手引をもとに、自社向けにアレンジするという方法で作るのでしょう。(それにしても例にあげた会社は少し考えがなさ過ぎだと思いますけど)
読む方にとっては、紋切り型の開示であることをどのように捉えるか、つまりその項目について積極的に開示したいと会社が考えてないのか、元々開示に力が入っていない会社なのか、そういったことを考えてみるのも面白いかもしれませんね。