言の葉と道具

「Chromebook」や巷にあふれる「文章」に関することを書いていきます

【本】「超スピード文章術」で素材集めを学ぶ

聞いたことは、右耳から入って左耳へ抜ける。
見たものは、映画のエンドロールのように映ったそばから消えていく。

kindle whitepaper がでたころに電子書籍を買うようになって、読書量が増えたのはいいことだけれども、ちゃんと記憶できて活用できているのかわかりません。

そういえば。

かなり昔のNHKの番組で、落語家 柳家小三治が次のような趣旨のことを司会に質問していました。

(プロフェッショナル仕事の流儀 No.100で、司会は茂木健一郎住吉美紀アナウンサーだったように記憶しています)

 

―― 噺を100から120くらい頭にいれたんですが、今は30といくつかでやっている。残りの噺はいったいどこに消えたのか(柳家
―― アウトプットすれば忘れにくい (茂木)

 

このような趣旨の応答だったように思います。(もっともこの回答に柳家小三治は納得していない風だったのですが)

覚えることというか、ネタの重要性を再認識したのが、最近読んだ「超スピード文章術(上阪徹:著)」です。
本書のざっくりとした内容は次のとおりです。
 

・はやく書くためには、素材が必要、文章は素材が9割である。

・素材は「独自の事実」「エピソード」「数字」である

・そして素材を使って早く書く「素材文章術」は

 1.書く目的と読者を定める

 2.素材を集める

 3.素材を組み立てる

 4.一気に書ききる

 5.見直す

 の5つのステップからなる

 

この本は文章をうまく書くためのものではなく、「いかに文章を早く組み立てるか」にフォーカスしています。そのために、素材を集める。そしてその素材はいつ思いつくか、どこで見つかるかわからないため、メモツールをもつことが重要だとも説いています。(「スマホのメール下書き」を筆者はすすめています)

 

筆がすすまなくなって困っている方に一読する価値があるのではないでしょうか。

 

一つに気になったのは、本作でふれている「独自の事実」として、インタビューした素材について挙げられていました。しかし、その手法はブログを書くぞ、といった私のような読み手にとっては今ひとつしっくりこない部分もあり、インタビュー以外で独自の事実ををもう少し噛み砕いていただけるとより、うれしい本になったように思います。

 

文章を書く際に感じることなのですが、仕事で書く文章とプライベートのそれとは難易度が違うな、ということです。

仕事で書く文章であれば、書く目的が決まっていてブレがすくない。例えば、●●商品の売上状況についてレポートせよ、といったように上司から書くべきものを提示されます。

(本書では目的についても、表面上の目的から真の目的まで掘り下げる、といったことが述べられていました)

 

また、プライベートでものにする文章でも、外に出さないもの、例えば日記、というものについても目的にブレは少ない。

 

しかし、プライベートで書いて外に出すような文章、例えばブログの文章なんてものは、筆が先にすすまなくなります。

そんな私に、素材が大事という、一見当たり前だけれども重要な事実を認識させてくれたのがこの本でした。

 

10倍速く書ける 超スピード文章術

10倍速く書ける 超スピード文章術